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<移住者エッセイ>みなかみ移住7年目!2拠点フリーランスライターのだらっとしたある夏の日


「60歳になった自分が見えた。」

新卒で鉱物会社に入社して6年。東京でキャリアウーマンをしていた私は、当時力を入れていた案件がひと段落し、このままこの会社で働いた数十年後の自分が見えたような気持ちに。その姿は、なんかものすごくつまらないものでした。


そこからこのままじゃダメだと一念発起して、仕事を含め今の暮らしを変えたいと、関東から近い長野、山梨などで移住地を検討。会社を辞めて、2018年4月に東京から群馬県のみなかみ町へと移住しました(詳しくはコチラ!)。移住後、WEB制作会社でコンテンツ編集・ライター(フルリモート)として勤務の後、退職してフリーランスで独立してから今年で5年目に。移住してからも東京在住の兄家族とご縁があって、東京とみなかみとを行ったり来たりしています。


今回はみなかみでだらっと 生息するフリーランスライターの生態、これがなんの役に立つのか、でもきっと、と信じて暮らしを通して日々感じていること、お仕事などについてお届けします。

 

みなかみ在住フリーランスライターの1日とは

8:30 光合成からスタート

頭ちょんまげ姿などでストレッチしているベランダ

 

だいたい9時ごろまでに起床。原稿の執筆が遅くなってしまった日などは昼ぐらいまで寝ます(一生早起きしたい人生です)。朝起きたらまずコーヒーを入れて、2階のベランダへゴー。仕事柄生活が不規則になりやすいので、雨の日以外日光浴をするようにしています。

ここで、太陽のポーズなど簡単なヨガとストレッチ。横の側溝に山からの湧水流れているので、ベランダには水音が聞こえてくるのですが、この水の音や鳥の声、そよそよと鳴る葉っぱの音に合わせて呼吸をする、みどりの匂いをかぐと、ほんの数分でもなんだかとてもすっきりします。ベランダに座ってコーヒーを飲みながら1日のスケジュールを立てます。


10:00 仕事スタート

仕事先への返信、企画・構成の制作、原稿の執筆などスタート。するものの、アレ食器がたまっている、天気がいいので洗濯物を干したいなど次々に他の事をしたいトラップが発生。在宅ワーカーやフリーランスの方にはあるあるかと思いますが、ついネットサーフィンしてしまう+αで通常はやりたくないはずの家事が気になってしまうあるある。そこにですね、田舎ではお虫問題まで+αしてきちゃうんですね。


例えば、うちは全面囲いのある半分外みたいなとこに洗濯機が置いてあるのですが、天気がいい!洗濯しようと思ったら、○○がいる!と。最近では蜂。それも大きな蜂(おそらくスズメバチ)、しかも2匹。全面に囲いがあるものの所どころ隙間があるので、そこから入って来たのでしょうか。通常身の危険などがない限りできるだけやっつけたくないお虫ちゃん。しかし、複数いるということは、まさかここで巣作りをしている、、、!?それはあかん、緊急事態発生です。凍らせる用殺虫剤を持って、ドアからこっそりと様子を伺います。他に蜂はいないか確認しながら、2匹が一緒にいてくれる瞬間を待って、えいや!


などと、やっている内にすごく時間が経過しているんですね。お家に虫が出てくる→一日複数回何かとたたかって(カメムシ、蚊、クモとか)→何してんだの日とかあります。


また、田舎にいると命と接する機会が多くなるというか、虫についてもやっつけなきゃいけない場面が多くなるので、同じ命なのになぁとなんだかなぁという気持ちにもなったりします。日常では虫に困らされる、煩わされているとか害だとかって思っちゃったり忘れがちだったりするのですが、虫って感動的。

洗濯場で発見した1cmくらいあるテントウムシ


まだ涼しい朝の時間に窓から見える赤とんぼの群れとか、今までに見たことないでっかいてんとう虫(1㎝以上あったの!)に遭遇したり。この前なんて、廊下に置いておいた布袋の中のカブなど無農薬野菜へ久しぶりに手を伸ばしたらモンシロチョウが飛び出してきた!部屋の中で飛んでいる姿が、蛍光灯の黄色い粒子をまとってほんとうにキレイで。邪魔だったらやっつけて、他では美しいからと愛でてという矛盾に複雑な気持ちになりながらも、なんとなくそんなんも抱えて共生していきたいです、人間は矛盾が多いいきも、、、


いや、、、ねぇ、仕事して!!!


13:00お腹が減った時がお昼ご飯

この日は味噌付け、味噌・梅干し漬け野菜と味噌汁という味噌だらけの日ですね

 

時間が溶けたんかなとか思うんですが、現実ですね。

午前から2時間ほど仕事をしたところで、腹が減ってはなんとやらなのでお昼ごはんを食べます。

決まった時間に食べた方がいいのかもですが、ご飯を食べると眠くなるので、仕事がひと段落したタイミングやお腹が減った時に食べます。初夏はういういしい野菜がいっぱい。常備菜を作っておいて、それをご飯とかに乗っけて食べることが多いです。野菜を適当に切って、レンジでチンしておいて、ナンプラー、醤油、塩、辣油、みそ、麹、梅干し、ビネガー、唐辛子、レモン、スパイスとか、これまた適当にその日の気分で組み合わせて味付けます。野菜が新鮮で調味料が美味しいと、無限に美味しい組み合わせってできますよね。ご飯がなくて、でも炊くのめんどくさい時とかよく辛ラーメンに乗っけたりします。


もうお家の中にいるの飽きちゃったということで、外へ食べに出て、そのまま外で作業することもあります。みなかみは都心に近く古くから観光地として栄えてきたので、田舎と言っても飲食店が多いです。また、志のステキな移住者をはじめとした方々によってコワーキングスペース・新しいカフェも続々とできてきていて(勝手にディズニーランド化現象と呼んでいます)、外で仕事をするのに困りません。私は知り合いがいない場の方が作業がはかどるので、店員さんも顔見知りでない喫茶店とかで作業することが多いですが、おしゃべりしたいなという時はお友達がやっているお店・カフェなどに遊びに行かせて頂いて、わいわいと。ありがたいことだなぁと思います。


15:30お散歩タイム

熊鈴は必須アイテム


ご飯を食べてさらに2時間ほど作業。飽きてきたのでお散歩に出ます。

みなかみに移住してくる前の田舎暮らしのイメージは、益田ミリさん著の「週末、森で」。森の近くに住む主人公が、都会に住むお友達2人と共にてくてくと森を歩く姿を描く4コマ漫画です。私はこれを読んで、なんとなく田舎での暮らしってぱっと森に入って、てくてくするものだと思っていたのですが、実際はちょっとてくてくするには勇気と知識がいります。不審者よりも怖い存在、その名はKUMA。熊です。

観光地の田舎って、大きい道もしっかり整備されていたりするんですが、その道は車が結構ばびゅんばびゅんと通っていて歩くのが怖かったり。かといって裏の細い道に入っていくと一寸先は木がしげしげとしていて、熊とか急に出てこないか怖い...結果知見も勇気もないルーザーは、近所のいつもの道ばかり歩くことに。


そんな中でもいつも違うものが見れたり、遭遇があったりするから面白い。例えば、この間まで見る影もなかったのに、急に紫色の小さな花が咲いていたり。自然は刻々と、自分と比較するとすごいスピードで生きているのではないかと感じます。動かない、そのままで、しかし時間を間違いなく刻んで。空には急に、とんび?タカ?何なのかわからないでっかい鳥がくるくると転回して飛んでいたり。近場の散歩ですが胸が感動で熱くなりながら帰ることもあります。


18:00遊び過ぎて仕事が終わらない

はい、そうです。お気づきの通り、仕事が終わらないんですね。総合するとなんやかんやで生活というか遊んでいるというか、そんなことをしている内に夕方になってしまうんですね。お散歩から帰ってきて2時間ほど作業をして18時。本当は仕事を終えて、ゆっくりスローライフ的な感じをアピールしたいところですが、全然終わっていません。まだまだ、頑張っていきます。


20:00温泉へ

貸し切り状態で温泉の窓から見た景色。アジサイが点々と灯りのように揺れていました


近所の温泉に行きます。周辺は旅館屋さんが多く、日帰り温泉を提供して下さっているところも。だいたい車で数分のところにある旅館屋さんへ行きます。温泉って単純泉、炭酸泉とかさまざまですけど、どんな種類でも私は厳選かけ流しがやっぱり一番好きです。すごく気持ちよくて内々が満たされて、元気になる感じがあるんですよね。


21:00晩酌タイム

モンシロチョウ生誕の地で発掘されたしわくちゃのカブもカレーに使用されていますね

 

買い物などもすませたりしていると、気付いたら結構遅い時間での晩酌タイムです。

昼と同じく作ってある常備菜をつまみに、もう一品魚とか肉とかメイン料理を焼いてたべたりしています。最近は東出昌大さんのYoutubeにハマっていて、見てると登場する料理がめちゃくちゃ美味そうで。ついつい、同じ料理を食べたくなっちゃいます。


この日は動画に感化されて予定を変更。スパイスカレーを作っていますね。

ビールの後は、本絞りレモンサワーとグレープフルーツサワーを混ぜてグラスに注ぎ「こぼれサワーに私しちゃう。こういいのがいい、こういうのがいいんですよ。」とか独り言を言いながら飲んでます。


あっという間におやすみタイムですね。ちゃんと干せた日、太陽の匂いがするシーツで寝られた日はラッキーでめっちゃくちゃ幸せな気持ちに。今年のみなかみの夏は本当に涼しくて、この記事を書いている今は7月後半に差し掛かっていますが扇風機もいらないくらい。清々しい空気(ちょっと寒いくらい)の中、ネコと一緒に寝て一日がおしまいです。


思いもよらぬところから生まれるお仕事

桜の枝を煮だして染色したキュートキュートピンクTシャツ


「お仕事はどんな感じなんですか?」と聞かれることが多いので、ここでは最近のお仕事について。私は現在2社さんのコンテンツ制作を担当していて、毎月おおよそ決まった量のお仕事を頂いています。最近1社さん新しく仕事をご一緒することになったのですが、その経緯が自分でも想像のしていなかったところからのご縁で。


現在草木染めの服を中心としたブランドを立ち上げたいと取り組み中なのですが、染め用のノーブランドの服を探していた時に、その会社さんと出会いました。はじめは「私がお客さん」だったはずなのですが、直接会って自身のプロフィールなどお話をするうちに、先方が興味を持ってくださり今のお仕事につながったという感じです。

ライターと染め物、双方に関連のないことをやっていても、根底にある自身の思う方へと向かっていると、予想もつかないところでご縁につながるという。不思議なもので、でもそりゃあそうか、という気もします。


2つの暮らしがあるから気づいたこと

うちのネッコと兄家のイッヌ

 

「東京ではどうしてるんですか?」というのも2番目に多い質問ですね。みなかみへ移住してから東京で打ち合わせがあるたびに兄家族の家に滞在させてもらってきたのですが、コロナ禍で打ち合わせがすべてオンラインになった後も、家族+αのような立ち位置で定期的に東京へ遊びに行っています。


今では姪っ子の授業参観にも参加する謎の+α。お義姉さんのママ友さん達もだんだん、あ、あの人ね!みたいな感じで覚えてきてくださっています。

兄、お義姉さん、私の3人は全く別のタイプなのに、上手くピースが分かれたみたいな感じで不思議と気が合います。好みや性格は違うものの、違う分野・方向で頑張っていてお互いをリスペクトしているところがあるのかなと思います。姪っ子達2人とも今のところ気が合っているのかなと(私だけが思っていないことを願う)。友達のような、姉妹のような存在です。姪っ子達は塾に、遊びに、やりたいことを思いっ切り頑張っていて楽しんでいて、ハハ―(感嘆)と思うことも少なくありません。彼女たちのこともリスペクトしているし、存在自体をとても愛おしいと感じます。


東京滞在中は植物や動物、サイエンスについてのイベントによく参加するのですが、みなかみとは違うコミュニティがまた新鮮。「人」にもその土地ならではの共通の雰囲気があるように感じます。違うコミュニティ・土地を行き来することで、長く住んでいると当たり前になっていたことも改めてすごいなと感じたり、互いの土地の魅力を再認識することができて、どちらにも帰ってくるたびにちょっとわくわくします。


ただ、拠点を行ったり来たりすることで、根のない暮らしになっている部分はあって、気楽な分、どちらにも所属していない寂しさみたいなのを感じることも。回覧板もかなり早い時点で回って来なくなりました笑 町での情報を後から友達や大家さんから聞いて「知らんかった!」ということもあります。でも、長期で離れていても、いつでもお帰り~と声をかけてくれる温かさにいつも助けられています。


自分で決めたんだから、よしってことで

今回「ありのままの生活を」ということで、なんか思ってたんと違ったということを含めて、みなかみでの暮らしを中心にそのままを書かせて頂きました。


他にも、「田舎といえば農業!農業で身体を動かそう」と思って午前中だけバイトをするもハードすぎて3日で辞める(ほんとうにヘタレで申し訳ありませんでした...)、山間部の寒暖差にやられて逆に不健康なのではと思う事がある、楽しいイベントが多すぎてどれに参加しようか悩み過ぎる、遊び過ぎるなど住んでみるまでは想像もしていなかったことに悩まされることも。


でも、結局私は今の暮らしがけっこう気に入っています。「なんか思ってたんと違った」ということも、発見があって楽しい。


きっとそれは「誰にとっても田舎で暮らすのはいいこと」ということではなくて、自分にとってどこで暮らすのがぴったりなのか自分のためにきちんと探してあげて、そして、結局全部楽しいや、ということなんだと思います。納得感のある楽しさというか。

どんな経験をしても、どんな場所にいても、自分が自分のためにちゃんとやってあげたことなんだから、だからそれをよしとして生きていける、そういうことかなと思います。


今、想像する60歳になった時の自分は、なんか結構かっこいいんじゃないかなと。あの時みたいにはっきりとはそのイメージは思い浮かばないけど、悪くはないおばあちゃんになっている気がしています 。


「東京は好きだけど、田舎でも暮らしてみたい」という方は、ちょっくらくらいの気持ちでみなかみに遊びに来てみてはいかがでしょうか?思ってもみない発見や楽しみが見つかるかもしれませんよ。


 

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